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内科

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認知症について

2011-07-21
 いま、日本のお年寄りに増加し続けている認知症は、私たちが思っている以上に身近な病気となりました。現在75歳以上では、5人に1人が認知症をもつといわれています。個人が、社会が、この問題とどう向き合っていくかは、数年後には世界一の超高齢者国家となる日本にとって、重大なテーマです。
認知症は、大きく「アルツハイマー病」「脳血管障害による認知症」「その他の認知症」に分けられ、種類によって対処方法も異なります。脳血管障害による認知症は、その原因となる脳梗塞などの予防を心がければ、ある程度防ぐことはできます。また、認知症の約半数を占めるアルツハイマー病の場合、症状が悪化してしまう前に「早めに」発見・対処すれば、症状の進み方を遅らせることができるケースもあります。まずは1人1人が認知症を正しく理解したうえで、早い段階から対応していくことが何より大切です。
 それではどんな症状が認知症のはじまりなのでしょうか?「最近物忘れがひどくて…」なんて言う人は大勢います。多くの場合、この程度の訴えの段階では認知症とは言えません。認知症は、本人よりも、周囲の人が気づいて発見されることが多いようです。しかし、気づいていても、「まだ言わないでおこう」と、本人を気遣ったつもりで病院には連れて行かない、そうした行動は、結果として認知症の症状を悪化させ、もっと早く病院に行っていれば対処法もあったのに…と後悔するケースがわが国では多いようです。認知症は、れっきとした「病気」なのですから、恥ずかしいことでも、みっともないことでもありません。ためらわず早めに医師に相談することが、何より大切です。
 以下は、認知症の始まりではないかと思われる言動です。個人差もありますが、日常の暮らしの中でいくつか思い当たることがあれば、お医者さんに相談しましょう。
1、      物忘れがひどい
□ 今切ったばかりなのに電話の相手の名前を忘れる
□ 同じ事を何度も言う・問う・する
□ しまい忘れ置き忘れが増えいつも探し物をしている
□ 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う
2、      判断・理解力が衰える
□ 料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった
□ 新しいことが覚えられない
□ 話のつじつまが合わない
□ テレビ番組の内容が理解できなくなった
3、      時間・場所がわからない
□ 約束の日時や場所を間違えるようになった
□ 慣れた道でも迷うことがある
4、      人柄が変わる
□ 些細なことで怒りっぽくなった
□ 周りへの気づかいがなくなり頑固になった
□ 自分の失敗を人のせいにする
□ 「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた
5、      不安感が強い
□ ひとりになると怖がったり寂しがったりする
□ 外出時持ち物を何度も確かめる
□ 「頭が変になった」本人が訴える
6、      意欲がなくなる
□ 下着を替えず身だしなみを構わなくなった
□ 趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった
□ ふさぎ込んで何をするのも億劫がり、いやがる
 
アルツハイマー病とはどのような病気でしょうか?
 アルツハイマー型認知症とは通常の老化よりも脳の神経細胞が減ってしまうことで、脳が萎縮していく病気です。脳の萎縮が進むと、認知機能が少しずつ失われていきます。そして、最初に現れる症状は物忘れです。加齢にともない、物忘れが目立ってくるというのは多くの高齢者が感じることです。では加齢による物忘れとアルツハイマー型認知症による物忘れとはどう違うのでしょうか。加齢による物忘れは、「お昼ご飯に何を食べたか思い出せない」など出来事の一部を忘れます。ヒントを与えられると思い出せる、時間や場所などは正しく認識している、日常生活に支障はないといった特徴があります。一方アルツハイマー型認知症の場合には「お昼ごはんを食べたこと自体」、つまり出来事の全体を忘れていまいます。ヒントを与えられても思い出せない、新しい出来事を記憶できない、時間や場所などの認識が混乱する、日常生活に支障があるといった特徴があります。これは、脳がダメージを受けるために起こる症状(中核症状)です。この中核症状による日常生活の不自由さやストレスなどのよってさらに様々な症状が出現してきます。これを行動・心理症状(BPSD)といいます。たとえば、一人で歩きまわる(徘徊)、不安・幻覚・妄想、怒りっぽくなる、意欲がなくなる(抑うつ)といった周辺症状です。周辺症状は、ご本人の性格や環境、周囲の方々の接し方などにより現れ方に個人差があります。
 これらの症状はいつの間にか発症し、年単位の時間をかけて徐々に記憶力、理解力、判断力が低下し日常生活に支障をきたしてきます。病気の進行とともに時間や場所、人物などの認識に混乱が加わり、人によって妄想や徘徊などの周辺症状がみられます。症状はゆっくり進行し、3〜4年から10数年と経過には個人差があります。
 
アルツハイマー病の治療戦略に新しい選択肢が加わりました。
 アルツハイマー型認知症の症状は、脳の神経細胞が抜け落ち、そこで情報を伝えているアセチルコリンという物質が減るために、頭の中の情報をうまくコントロールできない状態です。また、脳の神経細胞が抜け落ちるのは、グルタミン酸神経系の働きに異常が発生し、NMDA受容体という場所を過剰に刺激してしまうのが原因です。前者には、アセチルコリンを分解してしまう酵素を阻害することによってアセチルコリンを有効に働かせるお薬があります。後者には、NMDA受容体への過剰な刺激を抑えることにより、神経細胞を保護するお薬があります。この両者を併用することにより、症状の進行を遅らせることができると考えられます。しかし、お薬の効果は病気そのものを完全に治すわけではありません。したがって、早期に治療を開始して、少しでも症状の進行を遅らせて(維持効果)認知機能を保たせてあげることが重要です。また、お薬を飲むことによって、患者さんへの介助に要する時間を短縮できた、患者さんの見守りに要する時間の増加を抑えられたとの報告もあります。ですからアルツハイマー型認知症の治療はご本人が快適に暮らせるよう、またご家族や介護者の負担を軽くすることが治療の目的となります。と言っても本人がお薬を拒否すること、飲むことを忘れてしまうことも多くあります。そこで、お薬の形も、お口の中で溶ける口腔内崩壊錠、液状の薬、体に貼るタイプの薬などの工夫もされています。介護者が上手に飲ませてあげることも重要なポイントです。“認知症になったかな”と思ったら「ぼけたから病院にいきましょう」ではなく、「ぼけの予防のためお医者さんに相談しましょう」「ぼけないようにお薬を飲みましょう」といって説得する方が効果的なようです。
服用中に気をつける症状は?
 お薬を飲む際は、本人が認知症のため訴えてこない場合があります。軽い吐気、食欲不振、便が軟らかくなる、下痢する、また、活発になり過ぎることもあります。介護者がこんな症状に気がついたら、主治医の先生に相談して下さい。
 
認知症の高齢者への接し方は?
認知症の高齢者と接するときにどうすればいいのか、とまどいを感じる人は多いことでしょう。特に家族の場合はついつい感情的になってしまいがちです。最も大事なことは、人間は認知症という障害を抱えながらも幸福に生きられるし、また幸福に生きる権利があるという、当然の前提に立って「その人を丸ごと受け入れて、出来るだけ機嫌の良い状態を保つ」ということと、認知症の特質である「忘れやすい」をうまく利用するということです。
例えば、
「ごはんはまだですか?」「さっき食べたでしょ!」「私は食べていません」
ではなく、「ごはんはまだですか?」「すぐにできるから待っててね」あるいは「もうすぐできるから、このお菓子を食べて待っててね」という会話にしてすぐに忘れることを利用する。
例えば、
「私の財布が盗まれた!」「私じゃないわよ」「自分がとったと白状する盗人がいるはずないじゃない」
ではなく、「私の財布が盗まれた!」「それは困りましたね、一緒に探しましょ」発見したら、自分の手柄にはせず「このあたりを探してみましょうか」と導いて、「あった!良かった」と、喜びを分かち合いましょう。
感情を表に出した場合はおそらく認知症のお年寄りは家族の人に対して、うるさい人、嫌な人、恐い人というマイナスのネガティブな感情が残り、時には攻撃的になってしまうこともあります。「ありがとうございます。後は私がやります」という対応をした場合には、“私のやっていた仕事を手伝ってくれて親切だな”というふうにポジティブな感情が残るような接し方が大切です。
とはいえ認知症が進むと家族の方への負担も増えます。自分の夫が、自分の母親が認知症になったとは、周囲の人には知られたくないものです。ご自宅でのんびりできることは、とても大切。けれど、メリハリの効いた生活を送ることも、もの忘れの症状の進行を抑えるには重要なのです。そこで、お勧めしたいのがデイサービスの利用です。これは介護保険制度が適応されます。最初は嫌がるかもしれませんが、行ってみると楽しく感じる方がほとんどです。家族の人の負担も軽減します。最終的にはグループホーム等の介護施設に入居なさることも勧めします。今まで家庭内では攻撃的だったり、うつ傾向だった方が、幸福そうに生活を送られるケースが多数あります。
 認知症は早期発見、早期治療が大切です。周囲の人が気づいたら、医療機関の受診を勧めてみて下さい。

不眠症について

2011-05-26
平成23年3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」により被災された方・関係者の方に、心よりお見舞い申し上げます。地震の影響により不安で夜も眠れなくなり、体調を崩されていらっしゃる方はいませんか?眠ることの役割には、体を休める、けがの修復・成長、記憶を固定する、ストレスの発散があります。この睡眠が不足すると、昼間の眠気や倦怠感から仕事の能率低下や色々な事故の誘発、気分の落ち込からうつ病の発症、また、生活習慣病の発症にもつながるといわれています。
では、何時間寝たらいいのでしょうか?睡眠には体を休めるためのレム睡眠と脳を休めるためのノンレム睡眠があります。レム睡眠は、入眠後1時間半ほどのノンレム睡眠の後に初めて現れ、その後1時間半間隔で一晩に4〜5回繰り返すという特徴があります。目覚めを良くするためには体は休んでいるが、脳は活性化しているレム睡眠の時に起きるのがポイントです。したがって、1時間半の4〜5倍である6〜7時間半が理想の睡眠時間です。成人の場合これ以上の時間を寝ようとしても無理ですので、起きたい時間から逆算して6時間プラス20分〜40分前位を目安に、床に着くようにして下さい。規則正しい生活リズムの中で、快適な睡眠をとるように心がけましょう!
 
ところで、人はなぜ眠くなるのでしょうか?脳や体が疲れると、睡眠を促す物質(睡眠物質)が蓄積される。睡眠物質は 20種類以上あるといわれています。その代表的な物質がメラトニンです。睡眠物質が分泌されて眠くなる、これを恒常性維持機構と言います。メラトニンは、脈拍、体温、血圧を低下させることによって睡眠と覚醒のリズムを上手に調整し、自然な眠りを誘う作用があります。人間が眠くなるのは、深部体温が1度下がった時だと言われます。まずは夕食に温かいものを食べて、軽い体操をしたり、温めのお風呂に半身浴で長めに入り、深部体温を上昇した後に、皮膚の表面から体温を放出させて深部体温を1度下げれば眠くなるというわけです。「赤ちゃんの手が暖かくなるとおねむだ」と言われるのはこのことです。メラトニンの分泌は年齢とともに低下します。それとともに、必要な睡眠時間も短くなり、成人では6〜7時間半眠れば十分です。 人間には「昼間活動し、夜間に眠る」という生活リズムがあり、そのリズムは「体内時計」が司っています。夜になると眠くなる、これを体内時計機構と言います。このリズムが25時間周期(個人差はありますが)であることがわかっています。1日は24時間ですから1時間の差があります。この体内時計の時間のズレを、正常に働かせいるように導いてくれるのが、太陽の光です。逆に夜の明るい光や、携帯電話等の刺激は体内時計を狂わせてしまいます。夜遅くまで起きていたり、生活パターンが不規則という人は、体内時計が狂わないように、くれぐれもご注意下さい。

インフルエンザについて

2005-10-10
インフルエンザとはウイルスによって起こる急性伝染病、いわゆる「はやり風邪」です。毎年冬になると流行を繰り返し、数年毎に大きな流行を繰り返します。このウイルスは、くしゃみや咳、会話等で飛び散り、これを吸い込んで感染を起こします。症状は急激な発熱、喉の痛み、咳、くしゃみ鼻水ですが、ときに脳炎、筋肉炎、心筋炎等の合併症を起こします。老人や抵抗力の少ない乳幼児がかかると重い合併症を引き起こす場合があり、死亡する場合があるので注意が必要です。

インフルエンザの予防
(1)外から帰ったら、手を洗い、うがいをする。
(2)出来るだけ人混みを避ける。 
(3)睡眠など休養をよく取り、栄養に気を配る。
(4)かぜの症状が出たら早めにかかりつけの医師にご相談ください。
(5)予防接種を受ける。
(6)予防薬を服用する。
 
インフルエンザ予防接種について
 人工的に体に免疫をつけ、病気などにかかりにくくするのが予防接種です。インフルエンザウイルスは、頻繁にその性質を変えてきますので、毎年流行する種類を予測して、ワクチンが作られています。予防ワクチンに使用したウイルス株が適当であればかなりの予防効果が期待できます。完全な予防にはなりませんが、重症化の防止には効果が高いので、抵抗力の低い小児や高齢者にはお勧め致します。また、喘息などの肺疾患をお持ちの方や、受験生などもしておかれると安心です。
ワクチンは1回、あるいは2回する必要があります。2回の場合は、1〜4週後(4週後が望ましい)に追加して接種します。注射する時期は、流行期の前の12月中にはすませる事が望ましいのです。副作用はほとんどないといわれています。ただし、ワクチン接種でアレルギー歴のある方や、鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対して、アレルギーを呈するおそれのある方にはお勧め出来ません。
 
インフルエンザ予防接種の料金1回;3000円 小学生以下で当医院での2回目;2550円です。
(補助金対象者の方は3660円から負担金を差し引きます)

COPDとは

2005-05-23
COPDをご存知でしょうか?慢性閉塞性肺疾患のことです。COPDは2020年には、虚血性心疾患、脳血管障害に次ぐ全世界の死亡原因の第3位となることが予想されています。COPDの主な原因はタバコの煙です。だから、禁煙、禁煙と叫ばれているのです。タバコを吸っているあなた、運動した時の息切れや咳・痰が多くありませんか?COPDの始まりかもしれません。最近COPDの吸入薬が処方できるようになりました。ためしに吸入してみて、いかに呼吸が楽になるか体験してみると、タバコの害がわかりますよ。また、家庭内での喫煙は、お子さんの病気の誘引にもなっています。禁煙しましょうね。禁煙の方法については、リンク集をご参照下さい。

慢性関節リウマチとは

2003-02-25
一般に、骨や関節、筋肉など、体を支え動かす運動器官が全身的な炎症を伴って侵される病気を総称して「リウマチ性疾患」といいます。このうち、関節に炎症が続いて、関節が徐々に破壊され、やがて機能障害を起こす病気が「慢性関節リウマチ」です。左右両側の関節にあらわれることが多く、最初は、朝、手の指がこわばった感じがすることが多いようです。発症のピークは30〜40才代で、性別は女性に多い病気です。早期発見・早期治療が大切です。
詳しいことは、リンク集のところから、リウマチeーネットをご覧下さい。
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